監修:社会福祉士 福島慎吾

医療費の公的な助成は、公的医療保険の自己負担分(原則3割)を対象としています。
多くの制度は、指定医療機関において、その疾病等を起因とした医療費や障害を改善するための医療費のみが助成対象となりますが、なかには歯科治療やけがの治療など、医療保険を利用したあらゆる医療が助成対象となる制度もあります。
差額ベッド代や一部の先進医療など、保険医療の対象とならない医療は、すべて公費負担医療制度の助成の対象外です。

一部制度は自治体によっては申請先が変わることがあります。

小児慢性特定疾病の医療費助成

20歳未満の方に適した制度です

子どもの慢性疾病のうち、慢性に経過する、生命を長期にわたって脅かす、症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる、長期にわたって高額な医療費の負担が続く、特定の疾病について医療費を助成する制度です。
SMAは、対象疾病の指定を受けているため、運動障害が続く場合、呼吸管理(人工呼吸器、気管切開術後等)、経管栄養などを継続的に行っていると医学的に判断された方が助成の対象となります。
この制度は、指定医療機関における医療費で、かつSMAに起因すると医師が認めた医療のみが助成の対象となります。
対象となるのは18歳未満の方ですが、引き続き治療が必要と認められる場合は20歳未満まで助成対象となります。
自己負担金は次のように定められています。この上限額と、2割負担の金額のどちらか低い方が、その月の自己負担額となります。
医療機関の窓口での支払いは、上限額の範囲で済みます。

 

自己負担上限額(月額)

※重症: ①高額な医療費が長期的に継続する者(医療費総額が5万円/月(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円/月)を超える月が年間6回以上ある場合)、
②現行の重症患者基準に適合するもの、のいずれかに該当。
<出典> 厚生労働省:

申請には、申請書、医療意見書、住民票、世帯の所得を確認できる書類、保険証、同意書などが必要です。 認定の有効期間は1年で、毎年更新の手続きが必要です。

この制度の申請先は、都道府県、政令市、中核市です。お住まいの都道府県等の相談窓口(主として保健所)にお問い合わせください。東京都のように市区町村が申請の窓口の自治体もあります。 各自治体の担当窓口はこちらをご覧ください。

指定難病の医療費助成

20歳以上の方(小児慢性特定疾病の対象年齢を超えた方)に適した制度です

発病の機序が明らかでなく、治療方法が確立しておらず、長期の療養を必要とし、患者数が人口の0.1%程度以下で、客観的な診断基準が確立している特定の疾病について医療費を助成する制度です。

SMAは、対象疾病の指定を受けているため、生活における重症度分類で2以上(学校生活・家事・就労は困難だが、日常生活はおおむね自立)等の評価スケールを用いた評価をおこない、日常生活や社会生活に支障があると医学的に判断された方が助成の対象となります(この認定基準に満たない軽症者の場合でも、高額な医療の継続が必要な場合には、助成の対象となります)。
この制度は、指定医療機関における医療費で、かつSMAに起因すると医師が認めた医療のみが助成の対象となります。
対象者の年齢要件はありません。

小児慢性特定疾病の自己負担金の上限額は、指定難病の自己負担金の上限額の半額に設定されているため、両制度の対象となる場合には、小児慢性特定疾病を利用する方がよいでしょう。制度上の優先順位はありません

自己負担金は次のように定められています。この上限額と、2割負担の金額のどちらか低い方が、その月の自己負担額となります。
医療機関の窓口での支払いは、上限額の範囲で済みます。 

 

医療費助成における自己負担上限額(月額)

※ 

「高額かつ長期」とは、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある者(例えば医療費保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上)。

申請には、申請書、診断書、住民票、世帯の所得を確認できる書類、保険証、同意書などが必要です。
認定の有効期間は1年で、毎年更新の手続きが必要です。

この制度の申請先は、都道府県です。お住まいの都道府県の相談窓口(主として保健所)にお問い合わせください。東京都のように市区町村が申請の窓口の自治体もあります。

乳幼児・子ども医療費助成

SMAを含めた医療保険を利用したあらゆる医療が対象です。対象年齢を各自治体にご確認ください

特定の年齢に達するまでの乳幼児・子どもの医療費を助成する制度です。
歯科治療やけがの治療など、医療保険を利用したあらゆる医療が助成の対象です。
自治体の単独事業のため、対象年齢、自己負担金の有無とその額、所得による制限、有効期間、更新手続きなどは、自治体によって異なります。
医療機関の窓口で一旦、医療費の支払いを行って領収書を受け取り、それを役所の窓口に請求する方式の自治体があります。その場合には、一定期間、医療費の立て替えが必要となります。

申請には、申請書、保険証、母子健康手帳などが必要です。

この制度の申請先は市町村です。お住まいの市町村の相談窓口(主として子ども・児童福祉部門)にお問い合わせください。

自立支援医療制度(育成医療、更生医療)

側わんの外科手術などに適応できる制度です

 

育成医療

身体に障害があって、これを放置すると将来障害を残すと認められ、手術などによって障害の改善が見込まれる18歳未満の児童が対象で、指定医療機関における入通院にかかる医療費を軽減する制度です。身体障害者手帳の有無は問われません。
自己負担金が定められており、この上限額と、1割負担の金額のどちらか低い方が、その月の自己負担額となります。
医療機関の窓口での支払いは、自己負担金の範囲で済みます。

申請には、申請書、意見書、世帯の所得を確認できる書類、保険証などが必要です。

更生医療

身体障害者手帳をお持ちの18歳以上の方は、更生医療が適用されます。指定医療機関における入通院にかかる医療費を軽減する制度です。
自己負担金の上限額が定められており、この上限額と、1割負担の金額のどちらか低い方が、その月の自己負担額となります。
医療機関の窓口での支払いは、上限額の範囲で済みます。

申請には、申請書、意見書、身体障害者手帳、世帯の所得を確認できる書類、保険証などが必要です。

育成医療、更生医療ともに、申請先は市町村です。お住まいの市町村の相談窓口(主として障害福祉部門)にお問い合わせください。

重度心身障害児(者)医療費助成

重度な障害の方で、SMAを含めた医療保険を利用したあらゆる医療が対象です

心身に重度の障害のある方に医療費を助成する制度です。SMAによって身体障害者手帳の1、2級をお持ちの場合には、ほぼ対象となります。
歯科治療やけがの治療など、医療保険を利用したあらゆる医療が助成の対象です。
自治体の単独事業のため、対象となる障害の種別や等級、自己負担金の上限額の有無とその額、所得による制限、有効期間、更新手続きなどは、自治体によって異なります。
医療機関の窓口で一旦、医療費の支払いを行って領収書を受け取り、それを役所の窓口に請求する方式の自治体があります。その場合には、一定期間、医療費の立て替えが必要となります。
申請には、申請書、保険証や身体障害者手帳などが必要です。

この制度の申請先は市町村です。お住まいの市町村の相談窓口(主として障害福祉部門)にお問い合わせください。

高額療養費制度

長期の入院や手術などで高額の医療費がかかるときに使えます

暦月(月の初めから月末まで)ごとに医療機関や薬局の窓口で支払った額(入院時の食費や差額ベッド代は含みません)が、レセプト(医療機関が作成する診療報酬明細書:同一の医療機関でも①医科診療と歯科診療、②入院診療と外来診療は、それぞれ別個に作成されます)単位で自己負担金の上限額を超えたときに、その超えた額を払い戻す(一定期間、医療費の立て替えが必要となります)制度です。
限度額適用認定証を提示すれば、同一の医療機関の窓口での支払いは、自己負担金の上限額の範囲で済みます。
同一の医療機関の自己負担金の上限額(70歳未満の方の場合)は、次のように定められています。

※1 

健康保険の標準報酬月額は58,000円から1,210,000円までの47段階。国民健康保険の「旧ただし書所得」は、前年の総所得金額、山林所得税、株式・長期(短期)譲渡所得金額等の合計から基礎控除額33万円を控除した額。

※2 

健保では被保険者が市町村民税非課税の場合、国保では世帯主と世帯の被保険者全員が市町村民税皮非課税の場合などが該当。

同一月に同一世帯内で、自己負担額が21,000円以上となる人が複数いる場合には、世帯単位で合算して自己負担金の上限額を超えた額が申請によって払い戻されます。この取り扱いは、単身世帯の方が同一月に複数の医療機関を受診したときにも適用されます。
過去12か月において高額療養費の該当回数が4か月以上となるときには、自己負担金の上限額が、多数回該当の額まで引き下げられます。

複数の医療機関を受診したときの合算や多数回該当のしくみ、公費負担医療との関係など非常に複雑な制度です。
詳しくは、ご自分の加入する医療保険制度の保険者(全国健康保険協会や健康保険組合などの健康保険事業の運営主体)、医療機関の医療ソーシャルワーカーにお問い合わせください。

SPI-JPN-0134